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今現在、あなたは健康ですか? 我々は様々な病気の危険にさらされて日常生活を送っています。病原菌によることもありますが、心のバランスを失って起こるストレスは恐ろしいものです。ストレスは身体の一番弱い部分を攻撃するようです。
私は50歳になるまで病気らしい病気をしたことがなく、年齢からくる体力の減退は感じていたものの、かなり無理をしても熟睡すれば翌朝はすっきり目覚めることができました。
まさに青天の霹靂というのでしょう、ある日近所の掛かりつけの医者から胃癌を宣告されました。一玄さんは坊さんだから直接伝えても大丈夫だと思って言いますがと、神妙な顔もせずに前置きされ、淡々と告げられたのです。
心が安定しているはずの僧侶がストレスが原因の病気になるなんて修行が足りないのではないかと言われそうですが、人間は弱い存在です。
タレントの逸見さんという方がご自分の悪性の胃癌を発表してからあっという間に亡くなられた記憶がまだ生々しいのですが、彼と全く同じ癌でした。私の場合には幸いにも早期発見をしていただいたお陰で、胃は75%切除されましたが一ヶ月程で無事退院しました。
しかし、退院直後は食事も思うように摂れないし、それよりも再発を恐れる気持ちが強く、この先どうなるのかと思うだけで暗い気持ちになっていました。毎日の朝課(朝のお勤め)は腹に力の入らない、頼りない声でした。ご本尊様のお地蔵様のお顔を見ながら、「元気になったら大きな声でお経を挙げますから、暫しお許しください」と念じながらの読経でした。
半年位は半病人状態でしたね。そんなある日、どうせ一度の人生であり、すべてを仏に委ねた身なのだから、気持ちをすっかり変えて生きてみたらどうかと内なる声が聞こえてきました。自分が楽しいと思うことをやってみたり考えたりすれば良いのでは、と思えたのです。考え方の方向転換です。病後を憂うのではなく、趣味を持ち、良き人と付き合い、腹の底から笑うことだと気づいたのです。人間、
嬉しくて楽しければ病気は寄り付かないのではないか、と本能的に感じました。私の場合、仏様が後ろから見守っていてくれるから大丈夫という安心感もありました。
忙しい日々にちょっとした時間を見つけてもやってみたいこと、それは何かと自問するまでもなく、私の場合それはバイクに乗ることだったのです。体重がだいぶ減って体力的に自信があるとは言い切れない状態でしたが、思い切って念願の大型バイクを買いました。四輪車はもちろんのこと、若い時から車が大好きなのです。二輪の免許は16歳の誕生日の翌日に運転試験場に駆けつけて取得した程です。
小遣いを貯めて、やっと小さな中古のバイクを手に入れた16歳のあの興奮が甦りました。風を切って大きな鉄の馬を操って走り続けていると、血の沸いてくる感覚が湧き上がってきます。また、坐禅を組んでいる時と同じ「無」の境地に達することもあります。バイクを通じて大勢の楽しい仲間にも巡り合うことができました。
現在、術後4年が経ちました。一時は心細くなるほど減った体重がここ半年は増えつつあります。もう大丈夫だという確信が持てるようになりました。
心の安心(あんじん)と共に大事なことがあります。それは自然に触れることです。日本の原風景とも言える里山は最高の心の栄養剤ではないでしょうか。また、悠々たる海は我々の些細な悩みを受け取って洗い流してくれます。日本には四季がありますから、その時そのときの美しさを愛でて、目にも心にも栄養を与えることがとても大きな効果をもたらしてくれます。日帰りの小旅行でもいいですから、日常を捨てて自然からエネルギーをもらいましょう。
病は気からといわれるように、病気は気持が病んで起こすことが多いのではないかと私自身の体験から痛感しています。日々身体を鍛えたり、健康に留意して出来うる限り健康体を維持し、心は穏やかに明るく生きたいものですね。
一玄
合掌
平成16年9月7日
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